「⽣まれながらにすべての⼈がユニークである」という信念のもと、“書く・描く”を通じて、世界中のあらゆる人々の個性と創造性を解き放つ「世界一の表現革新カンパニー」を目指している三菱鉛筆株式会社。同社は「Unique」を由来とするuniブランドで、最高品質の鉛筆「uni」やボールペン「uni-ball」などの筆記具を開発・製造・販売しています。
1887年(明治20年)の創業から、2022年で135年という歴史を積み重ねてきた老舗企業の情報システムを支えるITソリューションセンターでは、本社とグループ企業を合わせて、約2,800名の従業員をサポートするIT基盤や業務システムなどを運用しています。同センターでは、企業の信頼を守るため堅牢で安全なシステム構築を心がけ、電子メールが普及してからは、そのアーカイブも欠かさず保管してきました。しかし、Google Vaultの価格改定により、アーカイブのコスト増が試算され、Active! vault SSへの移行を推進して運用とコストの負担を大幅に低減しました。
三菱鉛筆 本社/外観
万が一に備えてクラウドに移行してもメールのアーカイブを継続
三菱鉛筆株式会社のITソリューションセンター所長で、業務システムからITインフラ全般まで、社内の情報システムを統括している井出智氏は、同社のメール運用とアーカイブの歴史について、次のように振り返ります。
「2012年にメールを含むグループウェアをGoogleに移行するまでは、オンプレミスでメールサーバーを運用していました。その当時から、業務で利用するメールの内容は、すべて自分たちでアーカイブしていました。当時は、メールサーバーの内容をメディアにコピーするだけでしたので、運用も容易でした。Googleを導入した当時は、GmailをアーカイブするGoogle Vaultは標準で用意されていて、コストの負担もかからなかったので、そのまま利用していました」。
しかし、2020年10月に旧G SuiteがGoogle Workspaceへと名称を変更したタイミングで、料金プランと利用ユーザー数が変更されました。例えば、ユーザー数が300名以上の企業では、Enterpriseエディションしか利用できなくなりました。
その結果、三菱鉛筆のGoogle Workspace利用には、新たな課題が持ち上がりました。その課題について、ITソリューションセンターのYAN氏は、次のように説明します。
「当社では、本社とグループ企業で、それぞれにドメインを取得してメールを運用していました。そのため、Google Workspaceのプラン変更に伴い、本社とグループ企業で利用できるエディションに違いが出てしまいました。具体的には、本社はEnterpriseのみしか選択できず、グループ企業ではBusiness Standardを利用することになりました。そこで発生した問題が、Business StandardにはGoogle Vaultが提供されていないので、グループ企業では独自にアーカイブを保管する必要が生じたのです」。
三菱鉛筆株式会社
ITソリューションセンター 所長
井出 智氏
Google Workspaceの価格改定によりグループ各社のアーカイブ問題が浮上
Google Workspaceの新たなエディション分けにより、グループ企業がGoogle Vaultを利用できないという事態に直面して、ITソリューションセンターでは改めてアーカイブの必要性について再検討しました。その経緯について、井出氏は「関係部門とメールのアーカイブデータの必要性について意見交換をしましたが、なかなか期限や範囲を設定するのが難しく、結論としては旧G SuiteのGoogle Vaultが対応していたように、過去すべてのアーカイブを保管しておくという対応の継続になりました」と話します。
Google Vaultを利用できなくなるグループ企業のアーカイブ問題を解決するために、ITソリューションセンターではGmailに対応したメールのアーカイブ製品のリサーチを開始しました。YAN氏は「各社のアーカイブ製品を調べた結果、価格や運用方法に操作性などを総合的に評価して、Active! vault SSが当社の要望に叶っていると判断しました」と選定の理由を説明します。
三菱鉛筆株式会社
ITソリューションセンター
YAN GUANYIN氏
Active! vault SSをグループ各社に導入しアーカイブの課題を解決
Google WorkspaceのBusiness Standardへ契約を変更したグループ各社で、Active! vault SSによるアーカイブを導入した成果について、YAN氏は「運用負荷が大幅に軽減されました。アーカイブ期間は1年保存プランを選択しましたが、Active! vault SSではアーカイブされたデータが記憶メディアで自動的に当社に送付されるので、継続的なメールの保管が可能になりました。また、自社でバックアップなどの設備を用意しなくても、記憶メディアが提供されるので、バックアップ作業の手間もコストもかからなくなりました」と評価します。
また、井出氏も「300名未満のグループ企業が利用できるGoogle Workspaceのエディションの中には、Google Vaultが利用できるBusiness Plusもありますが、Business Standardとの価格差は、680円/ユーザーになります。Active! vault SSと比較すると、大幅なコストの節約になります」と導入したメリットを語ります。
Google Workspaceのプラン変更により本社のアーカイブのコストも増加
Active! vault SSによるグループ企業のメールアーカイブ問題を解決したITソリューションセンターには、本社で利用するGoogle Vaultでも新たな問題が浮上しました。それはGoogle Workspaceのアーカイブユーザー(AU)への課金でした。Google Workspaceでは、退職した従業員のデータをアーカイブするために、2023年1月1日からAUライセンスという料金プランが提供されます。AUライセンスは、アーカイブ専用のライセンスなので標準ユーザーのライセンス価格よりも安価になっています。それでも、退職者が増えていけば、AUライセンスも増加し、標準ユーザーのライセンスコスト負担に加えて、退職した従業員に対するデータに対しても継続的な料金の支払いも発生します。
この問題について、YAN氏は「毎年発生する退職者のメールのアーカイブ保存期間を明確に設けていない為、そのユーザーをすべてAUライセンスにして、メールのアーカイブを継続していく事となり、年を追うごとにコストは増加していきます。そのコストと、Active! vault SSの運用コストを比較検討してみたところ、退職した従業員に対するコスト負担が生じない、Active! vault SSの方が圧倒的に安価でした。そこで、本社のメールアーカイブもActive! vault SSへの切り替えを提案しました」と話します。
Active! vault SSの本社採用を試算しコストと運用負荷を軽減
Google Workspaceで退職者のメールを保管するためのAUライセンスによるコスト負担を削減するために、本社でもActive! vault SSの採用を決めたITソリューションセンターでは、移行に向けた作業を推進しました。その経緯について、YAN氏は「Google VaultからActive! vault SSへ切り替えるために、導入時点で非アクティブなアカウントのみを対象に別途バックアップを取るタスクは発生したものの、大多数を占めるその他のアカウントに関しては、AUライセンスを使わずにすべてのメールがアーカイブできるので、大きなコスト削減につながります」と説明します。
Google WorkspaceのAUライセンスは、2023年1月1日以降から有料になるので、ITソリューションセンターでは、2022年の8月までに退職者のメールをダウンロードして保管し、メールのアーカイブを
Active! vault SSに切り替えました。切り替えの成果について、YAN氏は「グループ企業への導入でも感じていましたが、Active! vault SSの管理画面は、とても使いやすいと思います。管理画面で、実際に何件のメールが蓄積されているのか把握できるので、Google Vaultのときには不可能だったアーカイブの可視化が実現できました。切り替え後は、特にエラーなども発生せずに、安定した運用を継続しています。コストも運用も負担が軽減されて、導入してよかったと感じています」と評価します。
三菱鉛筆 本社/エントランス
安全性と運用の簡便性を追求しActive! vault SSのさらなる進化に期待
三菱鉛筆の本社とグループ各社のメールアーカイブをすべてActive! vault SSに切り替えて、コスト効果に優れた運用を実現したITソリューションセンターでは、さらなる期待をクオリティアに寄せます。YAN氏は「Active! vault SSの便利さは実感しています。できれば、メールのアーカイブだけではなく、Google Driveのアーカイブにも対応してもらえたらと願っています。また、他社の事例をもっと知りたいと思っているので、クオリティアが主催する交流会やセミナーなどがあれば、ぜひ参加して情報交換したいと考えています」と話します。
また、井出氏は「クラウドサービスは進化が早く、自社に最適なサービスを機動的に選択していくためには、Active! vault SSのようなサードパーティによる補助的なクラウドサービスの重要性も感じています。例えば、Google WorkspaceからMicrosoft 365へ乗り換えるときに、またはその逆等、メールやその他のデータの移行をサポートしてくれるようなツールやサービスがあればと願っています。今後も、クオリティアからは当ITソリューションセンターにとって、役に立つ情報やサポートを継続していただけたらと願っています」と期待を語ります。
三菱鉛筆 本社/エントランスアートウォール