Lotus Notes/Dominoによるクライアント/サーバー型メールの限界
「Lotus Notes/DominoからWebメールに更新したいと計画したきっかけは、システムを稼動させていたハードウェアの更新時期が来ていたからでした。しかし、それ以前からクライアント/サーバー型メールに対する継続的な運用の限界を感じていました」と総務部 情報システム課の前田尚宏課長代理は切り出します。同課では、2000年頃にメールの利用を中心に、Lotus Notesを導入し10年以上にわたって、バージョンアップを継続してきました。しかし、クライアント/サーバー型メールには、運用や開発における多くの課題がありました。
「導入当初は、グループウェアとしての機能も活用するために、アドオンの開発も行なっていました。しかしLotus Notes/Dominoの開発環境は、独自性が強いので技術の習得が困難である上に、外部に開発を依頼できるシステムインテグレータも少なく、仮に開発者がいたとしても、コストが高いという問題もありました。そのため、数年前から独自のアドオン開発は行なわずに、単なるメールシステムとして利用してきました。それでも、クライアント/サーバー型という運用面での不便さは残りました。保存性・機密性の面からメールデータをサーバーで持つ点は良いのですが、利用環境が個々のPCに依存しているので、利用者変更やPC更新の際には大変な作業手間がかかっていました。また1台1アカウント構成のため利用者は自分のPC以外ではメールを使えず、PCが故障すると代替機が用意できるまではメールを使えなくなるという問題もあったのです」と同課の山口正幸係長は説明します。
メールシステム更新に合わせ、メールデータの集中管理はそのままに、作業手間の軽減とメール利用環境の柔軟化を図るべく、Webメールの導入が最適だと情報システム課では判断しました。
米原商事株式会社
総務部 情報システム課
課長代理
前田 尚宏氏
米原商事株式会社
総務部 情報システム課
係長
山口 正幸氏
使い勝手の良さとメールデータ移行サービスを評価してActive! mailを採用
「Webメールの導入に当たっては、Lotus Notes/Dominoに蓄積されていたメールデータなどを移行できるかどうかが、選定における大きな条件になりました。そのためクラウド型のメールサービスは対象外になりました。その次に、各社のWebメールを社内で検証して、最終的にActive! mailとMicrosoft Exchange Serverのどちらにするかを検討するために、見積もりを取ることにしたのです」と山口氏は選定における過程を振り返ります。
JSSより提案されたActive! mailを同課では、使い勝手の良さやメールデータ移行サービスのコストパフォーマンスは高く評価していたものの、Linuxサーバーを運用した実績がないことから、導入のハードルが高いと考えていました。 しかし、この点についてもJSSのIDC(インターネットデータセンター)サービスを利用することで、Linuxサーバーの構築・運用実績からメールサーバーの構築・サポートを依頼できることが分かり、Active! mailの採用を決定しました。
「JSS IDCのサービスを活用すれば、データセンターでLinuxサーバーを運用してもらい、その環境下でActive! mailを利用できます。加えて、トランスウエアのメールデータ移行サービスは、当初の見積もり金額から一切の変更がないリーズナブルで誠実な内容だったので、安心して依頼できました」と前田氏は採用に至った経緯を語ります。
短期間でのデータ移行とスムーズな切り替えを実現
約170GBに及ぶ同社のメールデータは、約2週間で移行を完了しました。「メールシステムは取引先との情報伝達など、業務上欠かすことのできないものであり、"止められないシステム"です。
『通常サービスを継続しながら、過去の蓄積メールに加え、切り替え直前まで送受信されるメールも残さずデータ移行し、最短停止で切り替える。』のは技術的に困難かと思われました。
しかしながら、トランスウエアの技術者にも富山まで来てもらい、弊社のネットワーク構成に合わせた移行環境の構築や性能チューニングなど、きめ細かな対応をしていただいたおかげで、移行期間中も一切の利用制限をすることなく円滑に作業を進められたと思います。予定通りのスケジュールでデータを移行できただけではなく、予算以内で収められたことも大きな成果でした。また移行してみて感心したのは、Lotus Notes/Domino独自のドキュメントも、HTML形式に変換して高い再現性を維持していたことです」と前田氏は移行にかかった期間の短さやデータの変換精度、さらにコストパフォーマンスについて高く評価します。
データの移行を完了した翌日から、同社では一斉に新メールシステムの利用を開始しました。
「現場でのメール移行は簡単でした。事前にメールシステムを変更する旨を通達してありましたが、カットオーバーの当日はイントラネットのポータルページにActive! mailへのリンクと簡単な操作説明書を追加しただけです。
Active! mailはユーザーインターフェースが非常に分かり易く、また旧システムのメールは個人フォルダーも含めそのまま引き継がれているため、システム課では『見れば分かるだろう』と安心していたのです。切り替えの当日には、ヘルプデスクも待機していましたが、ほとんど問い合わせや混乱もなく、とてもスムーズに移行できました。
これもActive! mailのユーザーインターフェースの使い易さに加えて、事前にメールデータをほぼ完全に移行しておいた成果だと思います」と山口氏はActive! mailの使い勝手の良さが、円滑な移行をサポートしたと説明します。
「当社のシステムは、Webアプリケーション化を積極的に推進しているので、メールもWeb対応になったことで、軽快で特定のクライアントに依存しない柔軟なシステムを構成できるようになりました。今後は、Active! mailのAPIなどを勉強して、イントラネットと連携させるなど、Webメールの利点を活かして、社内システムの利便性を向上していけたら、と計画しています。」と前田氏は今後に向けた抱負を語りました。
*Lotus、Lotus Notes、Lotus DominoはIBM Corporationの登録商標です。Microsoft、Windowsは米Microsoft社の登録商標です。記載された商品名および会社名は、それぞれ各社の登録商標または商標です。