手間とコストを抑える集中管理を徹底
東京大学の情報教育をシステム面から支える情報基盤センターでは、最大4万人もの利用者を抱える大規模コンピュータシステムの管理・運営を行っている。
2004年春に行われ、1149台ものiMacの導入で話題を呼んだ情報メディア教育環境の刷新では、従来より行われてきたネットブート環境を継承。エンドユーザーが利用するパソコンにハードディスクを持たせないことよって、機器の故障から発生する管理の手間(コスト)を抑えている。
こうした先進的なシステム運用の方針はメールシステムにも生かされ、早くよりActive! mailを採用する土台となっていた。
決め手は
「すぐに使える」「どこからでも使える」「どんな機器からでも使える」
東京大学のメールシステムでは、Active! mailだけではなく学生が使い慣れた従来の電子メールソフトを利用することもできるようになっている。
「しかし、東京大学のメインとなる電子メールソフトはActive! mailです。初めて電子メールを使う利用者にとって、最初からメールの送受信画面を見ることができるメリットは大きい。Active! mailはサーバー側で利用者の設定を済ませてしまえるので、ほかの電子メールのように利用者のパソコンごとに設定を行わずに済むのです。」と、東京大学の情報システムを支える情報基盤センターの安東孝二氏は語る。
サーバー側で電子メール保存やユーザー設定を行うActive! mailの利点は多岐に現れている。
「まずどこからでも利用できる。学内各所に実習室やPCを使える場所が用意されているが、Webブラウザーを立ち上げればそのどこからでもメールを見ることができる。メールのためにPCを持ち歩く必要がありません。」
東京大学ではMac OS/Windows/Linux/Solarisなどさまざまな環境が混在するが、Webの画面を利用することでOSの制約も解消される。
さらに安東氏は付け加える。
「Webメール製品はシンプルさを重視するあまり、画面に気を使っていない製品が多い。質素ではなく分かりやすい操作画面を、細かいところまで気を使ったデザインを提供しているのもActive! mailの魅力の1つ。利用者が自分自身でメールの使い方を理解するので、使い方に関する問い合わせはほとんど来ない。」
Active! mailによって本来の情報教育に注力し、コストを抑えることができる。そのような利点がActive! mailの評価につながっているようだ。
東京大学 情報基盤センター
情報メディア研究部門 助手
安東 孝二氏
理想のメールシステムを導いたActive! mailの幅広い連携
数万人に向けてActive! mailのサービスを提供するのは「Sun Fire B1600」ブレードサーバー。 そしてバックグラウンドとなるメールシステムには、Active! mailからリクエストされたIMAPの処理を行う35台の「Mirapoint Postpointメッセージサーバー」、メールの取り回しを行う「MD450メッセージディレクター」、ユーザー情報を蓄積するLDAPサーバーには「Sun Fire V240」、メールの保管場所となるネットワークストレージ(NAS)として「NV NAS7200」などが控え、さらにアンチスパム、アンチウィルスサーバーが通過するメールの安全性を常に監視している。
ブレードサーバーを構成する各シャーシはActive! mailのほか、各シャーシの負荷分散を行うロードバランサー、SSLサービスの提供などに割り振られており、Active! mail用に割り振られた10台のシャーシは、それぞれCPUにAthlon XP-M 1800+と容量1GBのメインメモリを搭載。
「トランスウエアの技術は、ほかの製品との組み合わせやすさに強みがあると考えています」(安東氏)との言葉の通り、IMAPサーバーのゲートウェイとして動作するActive! mailは、ほかの製品との連携によって大規模システムへの柔軟な対応を可能にする。すべてを単体の製品でまかなうわけではなく、必要なところに必要な製品をピックアップできる。これも東京大学がトランスウエアの技術に信頼を寄せる理由の1つである。
これからのメールになくてはならない迷惑メール対策の追求を
そして新たに学習型迷惑メールフィルターを搭載した、最新のActive! mailが2004年より稼働している。「ベイジアンフィルターを使った迷惑メール対策には期待を寄せています。Active! mailを使っている限り無駄な情報にメールが埋もれてしまうこともなくなる。これからのメールにはなくてはならない方向性だと考えています。」(安東氏)
さらに安東氏はこう続けます。
「古くからActive! mailを使っているが、Active! mail 2003になってから非常にパフォーマンスがよくなった。2003から画面デザインを選べるようになったが、自分でメールソフトを所有している感覚を得るために、ユーザーごとにもっとインターフェースを選べるようになってもいいのではないでしょうか。
IMAPだけではなく画面からほかのオンラインサービスも利用できるハブとして使えるようになると、利用価値はさらに高くなるでしょう。」
Webメールシステムを担当するSun Fire B1600ブレードサーバー。
Active! mailに割り当てられた10台のシャーシには、CPUにAthlon XP-M 1800+と容量1GBのメインメモリーを搭載。
東京大学の情報システムを支えるサーバー群。