導入のきっかけと導入前の課題
甲南大学は情報教育の分野において、約50年の実績があり、現在でも学生に向けた高度な情報リテラシー教育が行われている。1990年代半ばには情報処理基盤の整備を目的とした情報教育研究センターが創設され、ITを活用した教育の情報化を推進してきた。
「これまで本学で提供してきたISPサービスに代わる、学内リソースへのアクセス手段の一つとして候補に挙がったのがWebメールです。Active! mailは導入実績が多く、また代理店である日本ビジネスコンピューター株式会社での評価も良好だったのが導入の決定打となりました。」と情報教育研究センター事務室の高橋氏はコメントする。
Active! mail 2003導入プロジェクトの背景について深堀氏より説明していただいた。
「甲南大学で提供していたISPとは、学生がメールシステムや学習システムなどの学内リソースに、学外アクセスが可能となるよう提供していたダイヤルアップ型のサービスです。
しかし、専門業者のアクセスポイントを利用した運用はコストパフォーマンスが悪く、また利用する学生側のダイヤルアップやメールクライアントの設定など、利用者やサポートする側の負担も大きいという問題を抱えていました。
大学が『ラスト 1マイル』まで提供するISPを脱し、ユーザーがいつでも・どこでも利用できるよう、ネットワーク・クライアント環境に依存しない、Webを通じたサービスに移行したのです。このプロジェクトではWebメール以外にも、認証付きリバースプロキシを導入しました。」
甲南大学
情報教育研究センター事務室
高橋 和巳氏
甲南大学
情報教育研究センター事務室
深堀 太博氏
メールコミュニケーションの習得と活用に専念できる環境を実現
甲南大学で稼働するメールシステムでは、Active! mailが負荷分散装置で接続された4台のLinuxサーバーに組み込まれ、UNIXベースのメールサーバーと連携。このうち学外から利用できるのは、Active! mailのみとなっており、メールサーバーへの直接アクセスはActive! mailおよび学内からのメールソフトを使ったアクセスのみに制限されている。
Active! mailは情報教育研究センターのホームページから直接ログインができるように、ログイン方法が変更された。
学生向けに情報処理入門講義を担当している井上氏は、メールコミュニケーションに関する教育にActive! mailを利用している。この講義では従来AL-Mailを利用していたが2004年度よりActive! mailへの切り替えを行った。
「情報処理の講義では具体的なメールクライアントの設定方法に関する説明は行っていません。AL-Mailを使うためには、大学側で個人のプロファイルを用意して個別の設定の手間を省いていましたが、設定にまつわるトラブルが時折発生しておりました。Active! mailの場合はそのような設定が不要になるため、学生は、メールコミュニケーションそのもののリテラシーを学ぶことに専念できます。」と井上氏はコメントしている。
導入時には、従来から使われているAL-Mail(POP3接続)とActive! mail(IMAP接続)で参照できるメールに食い違いが発生する問題が懸念されたが、AL-Mailでメールをサーバーに残すように設定したプロファイルの配布を行うことで対処した。
導入後は学生が自宅からActive! mailを利用するケースも増え、3~4年生には就職活動の強い味方になっているという。
甲南大学のサーバー群。Active! mailは左手のマシンに収容されている。
甲南大学
情報教育研究センター事務室
井上 明助教授
運用管理の悩みとActive! mailに期待すること
現在の悩みは運用管理の部分。Active! mailのデータは本来であればNFSなどで共有する必要があるが、現在は各機別々のストレージに保存されているためお知らせ編集などの部分で不便が多いという。
また、ユーザー管理の部分でActive! mailのメールクライアントと同様の使いやすさを持った管理画面の登場を希望しているという。
将来の構想の中でActive! mailにどういったことを望むかについて井上氏からこのようなコメントをいただいた。
「将来のActive! mailに期待することとして、メーラーはメーラーであってほしいということです。コミュニケーションツールとしてきちんと動いてくれれば良いと思います。その上で本学学内に構築されるさまざまなシステムとActive! mailが、スムーズに連携できるよう、認証機能の充実や、ポートレットとして情報を切り出すことができれば、より使いやすくなるのではないでしょうか。」