導入のきっかけと導入前の課題
茨城県の教育情報ネットワークは、全国トップレベルのIT教育環境を実現するネットワークシステムとして、平成17年度から運用を開始しています。
その内容は、ブロードバンドの高速性を十分に活かす回線を整備し、教育情報ネットワーク管理センターによる集中化された運用管理によって、セキュリティを確保した上で、動画配信やTV会議システムなどの機能を備えた教育機関専用のネットワークシステムになっています。
茨城県教育研修センターの情報教育課 教育情報ネットワーク管理室の川嶋正人室長は、その目的などについて次のように説明します。
「茨城県教育情報ネットワークでは、県立の高等学校、特別支援学校などの学校や、教育研修センター、図書館、歴史館、生涯学習センターなどの教育機関を、大容量の専用回線であるいばらきブロードバンドネットワーク(IBBN)で結び、大きな教育機関のネットワークサービスを提供しています。
Active! mail は、この茨城県教育情報ネットワークにログインできる教職員や生徒などが利用できるWebメールとして採用されています。」
茨城県教育研修センター
情報教育課教育情報ネットワーク管理室
川嶋 正人室長
ポータルサイトからログインできる利便性と教育現場での管理を実現
Active! mail によるWebメールを導入したことで、茨城県の教育情報ネットワークを利用する教職員は、県内のどこの教育機関に転勤しても、同じメールアドレスを使えるようになりました。
また、各教育機関のドメインのメールアカウントは、それぞれの機関に設けられた管理責任者によって現場での管理を実現しています。
その利便性と利用状況について、横山宏栄指導主事は、以下のように話します。
「Active! mail による電子メールのサービスは、混乱もなく現場の先生方には使っていただいています。また、Webメールにしたことで、1台のPCを複数の先生が共有している現場でも、個人のアドレスを使い分けられるようになりました。これまで、電話やFAXによる連絡しか取れなかった教育機関にも、メールによる同時送信ができるようになり、情報の伝達が速く確実になりました。」
教育情報ネットワークの電子メールのアドレスは、教職員だけではなく、希望すれば県立学校の生徒にも発行できる仕組みになっています。
「各組織の管理者が学校内のIDを発行できる権限を持っています。発行されたIDは、Active! mailのメールアドレスと連動しているので、自動的に付与される仕組みになっています。」とメールアドレスの仕組みについて、神門博樹主任は説明します。
茨城県教育研修センター
情報教育課教育情報ネットワーク管理室
横山 宏栄指導主事
茨城県教育研修センター
情報教育課教育情報ネットワーク管理室
神門 博樹主任
安定した運用を継続し、
今後は機能強化のためのバージョンアップも検討していく
教育情報ネットワークのメールサーバーは、教職員に50Mバイトの保存容量を、生徒には5Mバイトを割り当てています。
また、共有住所録は教職員には開放されていますが、生徒からは利用できないようになっています。教職員と生徒の利用方法を区別し共有住所録の閲覧を制限するために、当初はActive! mailのカスタマイズも検討されましたが、最終的にはサーバーを分割する方法が採用され、標準仕様のActive! mailを導入することが可能になりました。
カスタマイズを行わなかったことで、Active! mailのバージョンアップも容易になっています。
「この2年間で、電子メールを利用している教職員からも、間違って送信したアドレスリストをやり直したいとか、スケジュール管理をしたいなど、いろいろなリクエストが寄せられています。こうした希望に対して、Active! mailの新バージョンで対応できると知り、現在は更新を検討中です。」と横山指導主事は話します。
Active! mail によるWebメールサービスの開始から約2年を経過しても、教育情報ネットワーク管理室では安定した運用を提供し続けています。
2年の間に、Active! mailは一度だけセキュリティ対策のためのバージョンアップを行っていますが、機能強化のためのアップデートは実行してきませんでした。
「県内の施設には、まだWindows 98やMeなどのOSを利用しているPCも数多くあります。こうした利用する側の環境も、最新の状態に整えていく必要があります。それでも、利用する人たちの利便性や効率化を考えると、できるだけ早い時期に新バージョンに更新したいと考えています。」と川嶋室長は新バージョンの機能を評価するとともに、今後の取り組みについての抱負を語っていました。