イタリアの地理学者「ジョバンニ・デアゴスティーニ」が1901年に創設した出版社のデアゴスティーニは、イタリア・ノヴァーラにある本社を拠点に、日本をはじめ世界20カ国に進出しています。1959年に百科事典を雑誌のように毎週販売するパートワーク(分冊百科)出版の『イル・ミリオーネ』により、社会のニーズやウォンツに合った出版活動を推進してきた同社は、1988年に『Aircraft』を日本で創刊し、デアゴスティーニ・ジャパンが誕生しました。パートワーク出版において、全世界で50%以上のシェアを占める同社は、日本でも数多くのマガジンシリーズや組み立てシリーズを出版しています。日本での出版事業をITで支えているファイナンス&IT部では、取引先とのPPAP(添付ファイルのZip暗号化送信)対策や添付ファイルの誤送信対策などを強化するために、Microsoft 365に対応したActive! gate SSを採用し、Webダウンロードを活用しています。
Zip暗号化ファイルの受信を拒否する取引先が急増
株式会社デアゴスティーニ・ジャパンのファイナンス&IT部で、ITアシスタント マネージャーを務める中村 健志氏は、Active! gate SSによるPPAP対策に取り組んできた背景を次のように振り返ります。
「きっかけは、2020年に内閣府が発表したPPAP問題でした。当社では雑誌やものづくりをするため国内外問わず多くの取引先とデータをメールでやり取りしています。一方で、我々のファイナンス&IT部では、金融機関やシステム会社とメールをやり取りする機会が多く、2021年あたりからZip暗号化ファイルを受信拒否する取引先が見かけられるようになりました。また、Zip暗号化に関しても、社員教育を通して各自に操作を任せていたので、情報セキュリティ対策という観点からも、メールに添付するファイルの安全性を高める対策は必要だと検討していました」。
芸術や文化をはじめ、乗り物や人気キャラクターなど数多くのパートワーク出版を日本で展開している同社にとって、メールなどのIT基盤が国内外の取引先との円滑なコミュニケーションを支えています。それだけに、PPAP対策を中心とした添付ファイルの安全性と利便性の向上は、IT部門にとっても重要な課題となっていました。
Microsoft 365への移行をきっかけにPPAP対策としてActive! gate SSを採用
PPAP対策を推進するために、メールの添付ファイルを安全に送信する方法を検討していた同社のIT部門は、Microsoft 365への移行をきっかけにActive! gate SSを知りました。その経緯について、中村氏は「2023年の終わりに、本社がグローバルでMicrosoft 365を導入することになり、日本でも導入を準備していました。そのMicrosoft 365の導入をサポートしてくれたITベンダーに、PPAP対策を相談したところActive! gate SSを推薦してもらいました」と話します。
さらに「紹介してもらった後、他のサービスも比較してみたのですが、クオリティア社の導入実績や知名度、信頼感も高く、予算的にも収まるライセンス料だったので、導入を前提にActive! gate SSの検証を開始しました」と中村氏は選定の背景を補足します。
導入に向けた評価にあたっては、管理者としての立場とユーザー視点の両方から、操作性や使い勝手が評価されました。事前検証のポイントについて、中村氏は「ユーザーとしての使用感で重視した点は、特別な操作が必要になるかどうかでした。Microsoft 365への移行も同時に行われるので、添付ファイルの操作でユーザーに負担がかかるのは避けたかったのです。また、管理者としての立場では、運用の負担がかからない点と、サポート体制やマニュアルの充実度なども評価しました。結果として、ユーザーとしても管理者としても、Active! gate SSならば利用者に負担がかからず、運用面でも安心できると判断して、導入を決めました」と話します。
Webダウンロードを誤送信対策や受信確認にも活用
Active! gate SSの検証期間を経て、全社員への導入を推進してきた中村氏は、社内で説明会を開いてWebダウンロードによるPPAP対策について周知してきました。その説明会で中村氏は「Webダウンロードによる添付ファイルの送信は、誤送信対策や受信確認にも活用できると説明しました。Active! gate SSのWebダウンロードは、送信後にファイルを削除できます。送信した直後に、間違ったファイルを添付してしまったと気がついたときに、Active! gate SSの操作をすることで送信先の相手のダウンロード状況が確認でき、ダウンロード前ならファイルを削除することで誤送信対策にもなると思いました。また通常のメール添付では送信したファイルを相手が見てもらえたかは確認できません。しかしWebダウンロードを活用するとファイルを見てもらえたのかを確認できるので便利です」と導入の効果を語ります。
Active! gate SSのWebダウンロードの利便性に加えて「管理者としても、クオリティアのサポートには満足しています。Microsoft 365との設定に関しても、画面のスクリーンショットを用いて丁寧に回答してもらえたので安心でした。Active! gate SSには、豊富な機能と詳細な設定が用意されているので、使いこなしていくためにはサポートが頼りになるのは心強いです」と補足します。
Active! gate SSのさらなる活用や安全性の向上を推進
今後に向けたActive! gate SSの活用について、中村氏は「運用を開始してから、海外の取引先の一部から『添付ファイルはそのまま送信してほしい』という要望があり、Active! gate SSの設定を調整しました。WebダウンロードによってPPAP対策は実現できましたが、今後はTLS確認機能(※1)なども活用できないか検討していきます。また、現在はActive! gate SSのWebダウンロードを中心に利用していますが、その他にもメールの安全性や誤送信対策につながる機能を活用していけたらと考えています」と話します。
さらに「Active! gate SSによって、送信するメールの安全性は向上しましたが、標的型メール攻撃のような受信メールへの対策は、Microsoft 365の迷惑メール処理だけでは充分だとは思っていません。そこで、Active! zone SSのようなクラウド型標的型メール攻撃対策サービスも検討していきたいです」と中村氏は展望を語ります。
(※1)受信メールサーバーがTLS対応しているかを確認し、暗号化された通信経路に対しては添付ファイルにパスワードをかけずに送ることもできる機能