主力の広告営業において誤送信の防止は最優先の経営課題だった。
1998年に設立された株式会社サイバーエージェントは、インターネット広告代理店のリーディングカンパニーとして市場を牽引し続けています。現在はメディア事業やゲーム事業も堅調な成長を達成していますが、2016年9月末時点での売上構成比では、インターネット広告事業が51%の割合を占めています。同社がグーグルのG Suite‒Gmailを導入したのは2014年でした。Gmailへの切り替えを担当してきた全社システム本部の粕谷昌男氏は、その背景を次のように説明します。
「以前のクラウド型メールシステムには、動作に課題があったため、外部のサービスで安定したGmailへの切り替えを検討することにしたのです。そして、以前から課題となっていたメールの誤送信対策にも乗り出しました。なぜなら、当社のインターネット広告事業本部からは、メールのセキュリティに対する強い要望があがっていたからです」メールの誤送信防止やセキュリティ対策の必要性について、インターネット広告事業本部経営管理部門の千葉朝良局長は、以下のように切り出します。
「我々のインターネット広告事業本部(以下、広告事業部)では、毎日、お客様に前日の広告配信で得られたインプレッションやクリックなどの成果情報をレポートにして、メールの添付ファイルとして送信しています。業務の中心がメールで、電話よりも頻繁にお客様との対応に使われています。それだけに、もしもメールの誤送信などが発生してしまうと、営業面でのトラブルにつながりかねません」
同社の広告事業部では、以前から社員にはメールの誤送信を行わないように、徹底した啓蒙や教育を行ってきました。それでも、年に数回は人的ミスが発生していました。
「もしも、A社に提出すべき広告関連のレポートが、他のB社やC社に間違って送信されてしまったら、それは取り返しのつかない失態となります。最悪の場合にはお取引の停止という経営的なリスクにつながる危険もあります。そこで、教育や啓蒙だけではなく、システムとしてメールの誤送信を防止するためのソリューションを導入できないかどうか、全社システム本部に検討してもらっていたのです」と千葉氏は誤送信防止の重要性を語ります。
「千葉からの話があって、最初に検討したのがメールに添付するファイルの誤送信対策でした。誤送信を防止するためには、メールに添付するファイルを暗号化すれば、事故を未然に防げると、考えたのです」と粕谷氏は選定の経緯を振り返ります。
レポートとして顧客に送信する添付ファイルの暗号化により、広告事業部の問題を解決できると考えた経緯について千葉氏は「仮に、もしもA社向けのレポートがB社に送信されてしまったとしても、その添付ファイルが暗号化されていて、パスワードがわからなければ、内容を読まれることはありません。それで、事故を未然に防げると考えました」と説明します。
通常のActive! gate SSによる添付ファイルの暗号化では、別のメールで自動生成されたパスワードを送信先に伝える仕組みになっています。しかし、同部では取引先ごとに専用のパスワードを配布することで、この問題を解決しました。
「お客様にとっても、毎日送信されてくる添付ファイルを開封するために、いつも異なるパスワードを調べて入力するのは、面倒な作業になります。それであれば、お客様ごとに専用のパスワードを用意させていただいて、それを固定的に運用することで、双方の利便性と安全性を両立できるのです」と千葉氏は補足します。
こうした運用面での対策を考案しながら、粕谷氏は複数あるクラウド型誤送信防止ソリューションの比較検討に取り組みました。粕谷氏は「検討の段階では、4~5社のサービスを検討しました。Gmailと連携する誤送信防止ができて、機能的にも充実していて、過去に大きなトラブルや障害などを発生させていない信頼できる開発元などの条件で選定し、最終的には過去に起きたトラブルもすべて公表しているActive! gate SSに焦点を絞ってトライアルを開始しました」と検討の経緯を説明します。
「検討の段階から、誤送信防止ソリューションの導入は、広告事業部だけではなく、将来的には全社的に使えるといいだろう、と考えていました。そのため、Active! gate SSの試用では実際に様々なポリシーを設定して、長い期間をかけて検討しました。そこで、添付ファイルの暗号化と非暗号化の混在に対する課題を発見し、クオリティアに検証してもらいました」と粕谷氏は選定に至る取り組みを振り返ります。
2014年当時のActive! gate SSは、複数の添付ファイルに暗号化と非暗号化が混在していると、「暗号化あり」という判断をしてメールが送信されてしまうようになっていました。しかし、セキュリティ対策を強化したいサイバーエージェント側では、非暗号化の添付ファイルが含まれる場合には送信させないよう、より強固な「拒否」の仕様を必要としていました。そこで粕谷氏からの要望を取り入れる形で、現在のような「より厳密に判定する」仕様へと進化しました。
「試用期間から、Active! gate SSのサポート対応には、とても満足しています。暗号化と非暗号化の問い合わせでも、丁寧な対応をしてもらいました。また、ポリシーの設計で迷ったときにも、いつも迅速に的確なアドバイスをもらえるので、とても頼りになりました。こうした信頼感から、Active! gate SSならば、Gmailと連携したセキュリティ対策を推進できると判断しました」と粕谷氏は決断の理由を説明します。
約1~2ヵ月のトライアル期間を経てActive! gate SSによるメールの誤送信防止がスタートしました。「現場へは2週間前に導入を告知して、導入後も特に問い合わせはなく、スムーズに運用を開始しました」と粕谷氏は話します。
その結果、約2年間を経過した現在でも「データが他社に流出する事故は0件です」と千葉氏は報告します。さらに「我々にとって、メールが止まってしまうと、まったく仕事にならないので、誤送信防止が安定して運用されていることも、大きな成果です。検討段階でも、Active! gate SSには過去に大きなトラブルが無い点を重視しましたが、安定性の面でも選んで正解だったと思います」と補足します。
広告事業部からのメールに関連したデータの流出事故が0件の理由には、Active! gate SSの性能に加えて、粕谷氏が営業の現場に即したポリシーをきめ細かく設計してきた成果もあります。それに加えて、新たなActive! gate SSに対する現場からの要望も出てきました。
「Active! gate SSの機能を知った営業の現場から『このお客様に送るメールは、ここを事前にチェックできないか』という要望があがってくるようになったのです」と粕谷氏はポリシーを部門ごとに個別に設計している理由を説明します。
営業の現場からActive! gate SSを活用したメール送信のルール作りを希望する声が出ている効果について、千葉氏は「広告事業部としては、お客様へのメールの対応力を強化することは、売上の向上につながります。誤送信防止も重要ですが、それ以上にActive! gate SSのポリシーを活用して、より利便性の高いメールの自動化が可能になれば、それは大きなメリットです」と話します。
具体的には、社内の担当者を一元化するための自動仕分けに、Active! gate SSのポリシー設定が使われています。その仕組みについて粕谷氏は「送信先の特定のメールアドレスに対して、専任の担当者だけがメールを送信できるように、ポリシーで設定しました。このルールによって、重要なお客様に対して、複数の営業担当からバラバラにメールが送信されなくなり、顧客満足度を高めることができました」と解説します。
さらに千葉氏は「今、Active! gate(オンプレミス版)で注目している機能があります。それは、添付ファイル名と送信先名の照合です。この機能を使えば、添付ファイルに『A社様向け』などの名前を付けておくと、メールの宛先の社名を調べて、『同じA社ならば送信する』というルールを実現できます。このルールをActive! gate SSでも可能になれば、これまで以上に誤送信を防止できます」と期待しています。
「現在は広告事業部を中心に、約2,000名がActive! gate SSのライセンスを契約しています。今後は、この2年間で得られた成果をグループ関連企業にも展開していきます。当面の計画としては、グループ17社の約2,000名がActive! gate SSを使えるように整備していきます」と千葉氏は今後の展開について話します。
粕谷氏は「Active! gate SSには、多くの機能が備わっているのは知っているのですが、現在は誤送信防止を目的にしたポリシー設定を中心に利用しているだけです。今後は、あまり個別ルールは増やさないようにしつつも、現場の要望に応えてメールの安全性や対応力につながる設定や機能も、使い込んでいきたいと考えています」と抱負を語ります。
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