株式上場に向けてGmailのコンプライアンス対応にActive! vault SSを導入
同社がGmailを使うようになった背景について、総務部情報企画課で情報システム関連の導入や運用にも携わってきた清水聡課長は、次のように切り出します。
「以前に利用していたメールシステムは、容量に問題があり、使い難いという課題を抱えていました。数多くのキャラクター商品を扱う仕事なので、フィギュアなどの画像データを数多くメールに添付して送信していました。そのため、どうしてもメールのサイズが大きくなっていました。そこで容量を気にしないで利用できるGmailに切り替えることにしたのです」
メールシステムの切り替えに関しては、サイズや使い勝手の課題に加えて、もう一つ重要なテーマがありました。その点について清水氏は「Gmailの導入を決めた当時は、株式上場に向けた準備を進めていました。そこで、内部統制とメールの誤送信防止、そして添付ファイルの暗号化などのセキュリティ対策とコンプライアンスの強化は、必須の課題となっていました」と補足します。
安全で信頼できるメールの運用を実現するために、同じく総務部の鈴木寛之主任は、Gmailに対応したソリューションの選定に取り組みました。その経緯について鈴木氏は「Gmailの切り替えと同時に、Active! vault SSを導入してメールのアーカイブに対応しました。Active! vault SSは保存期間が1年3年5年と選べるなど柔軟性が高く、また、標準対応としてメディアへのバックアップサービスも充実していたので、選定しました」と振り返ります。
同社では、IT専門の部署を置かずに、総務部が社内の情報システムに関して、導入や運用などのサポートを行ってきました。その関係もあり、総務部のスタッフで理解して設定し、運用できるソリューションが選ばれてきました。GmailとActive! vault SSの組み合わせは、アーカイブの運用負担を低減しメディアの定期的な配送により、バックアップなどの作業からも解放されます。そのため、株式上場に向けた内部統制への対応も含めて、限られたIT運用スタッフでも的確なコンプライアンス対応を実現できるソリューションとして評価されています。
株式会社壽屋
総務部情報企画課
課長
清水 聡氏
半年の検討期間を経てActive! gate SSを選定
2016年3月から、Gmailの導入と同時にActive! vault SSによるアーカイブをスタートした株式会社壽屋ですが、セキュリティ対策に求められる誤送信防止と添付ファイルの暗号化については、半年の期間をかけて検討を行っています。その理由について清水氏は「Gmailの導入時に、我々の希望する通りの運用方法に対応したソリューションが、すぐに見つけられなかったのです」と説明します。同社が求めた誤送信防止の運用は、社内と社外の取引先を区別した送信保留のルール設定と誤送信を防ぐための確実な確認フローを実現するユーザーインターフェースでした。まず、送信保留においては、社内向けのメールは保留することなく送信し、社外に向けては一旦保留して確認するという運用ポリシーの実現が求められていました。また、確認においても「株式上場に向けた内部統制の実現という目的からも、形式だけの確認ではなく、チェックボックスなどが現れてチェックを入れなければ進めない仕組みなど、しっかりと内容の確認ができるシステムを導入したかったのです」と清水氏は話します。
新しいキャラクター商品などの開発では、3年先の流行を先取りした企画や、発売前の新製品の情報などがメールでやり取りされます。こうした情報には、高度な機密性が求められます。そのため、同社の総務部では的確なメールの送信保留と確実な確認フローを実現する誤送信防止ソリューションを必要としていました。鈴木氏は「何社かの誤送信防止を試してみました。その中で、Active! gate SSが当社の求める機能をすべて備えていました」と選定の理由を説明します。
株式会社壽屋
総務部総務課
主任
鈴木 寛之氏
海外に送信する暗号化ファイルにはメッセージを工夫して対応
GmailとActive! vault SSによるアーカイブの運用を開始してから約半年後の2016年10月から、Active! gate SSによるメールの誤送信防止がスタートしました。導入にあたって鈴木氏は「基本的な運用ポリシーは、Active! gate SSの標準的な設定を利用しました。ただ、パスワードの生成に関しては、当社の独自のルールを作成しました。また、定期的にやり取りしている取引先とは一定期間のパスワードを共通化するなど、運用の工夫も行っています」と話します。清水氏も「こだわっていた確実な確認フローについても、しっかりと運用されています。チェックをするときに、メールのアドレスごとに色分けされて表示されるので、ぱっと見て分かりやすく便利だと思います」と評価します。
一方で運用してから対応した設定に、海外に向けたメッセージの追加がありました。同社は1998年から北米へ向けて製品を輸出・販売しています。また、現在では20を超える国や地域に同社製品の取扱店があり、海外でのビジネスも活発になっています。そうした取引先へ商品の情報などをメールで送信する際に、暗号化されたファイルのWebダウンロードを案内するメッセージが、日本語だけでは不便でした。そこで鈴木氏は「クオリティアのサポート担当の方に相談して、メールの文面から国を判別してメッセージを変えたり、相手のドメインで判断するなど、いろいろと検討しました。結果としては、Webダウンロードを案内する文面に、日本語と英語を併記する方法で解決しました。それからは、海外からの問い合わせも来なくなったので、効果が出ていると思います」と話します。
店舗には数多くのフィギュアが並ぶ
2017年9月に株式上場、メールシステムも評価の一助に
Active! gate SSによるメールの誤送信防止を導入してから約1年後の2017年9月26日に、株式会社壽屋は東京証券取引所JASDAQスタンダード市場へ上場しました。上場の審査について清水氏は「メールの運用については、確実に承認しないと送信できない運用体制など、誤送信の予防に対する取り組みなどを説明しました。Active! gate SSとActive! vault SSによるGmailの安全な運用とコンプライアンス対策なども充分だと評価されました」と振り返ります。
またActive! gate SSを運用するようになってから、「現場からは暗号化したファイルのパスワードを毎回考えなくていいのは楽になった、と聞いています」と鈴木氏は話し「わたしも何度か送信保留には助けられました。相手先の名前などを打ち間違えることもあり、そのような時に送信したメールを取り消せるので、おそらく現場でも便利だと思っている社員も多いと思います」と評価します。
今後はモバイルでの活用も推進していく
総務部のスタッフとして社内の情報システムの導入や運用も担当してきた鈴木氏は「クオリティアの技術サポートには、満足しています。とても丁寧に対応してもらえるので、困った時にもすぐに解決できます。今後も新しい設定や機能を追加するときには、教えてもらいたいと思います」と話します。
株式上場も達成してActive! gate SSとActive! vault SSで安全なGmailの運用を継続している株式会社壽屋では、今後も高品質な商品を開発するために「開拓精神をもって挑戦を続ける」という企業理念の元、創造性の高い社員が新しい企画やアイディアに取り組んでいます。そうした企業の活動を支えるメールの誤送信防止とアーカイブにおいて、清水氏は「Active! gate SSとActive! vault SSの採用には、かなり満足しています。機能的にも充分だと思います」と話し「最近では、社内だけではなく社外からもGmailを利用する機会が増えてきました。特に、外出先からメールを確認することも多くなっています。Active! gate SSはクラウドサービスなので、もちろん出先からスマートフォンで確認できるのは便利ですが、モバイル機器での使い勝手の向上にも期待しています」と語ります。